5/23/2011

パンと肉

日本政府や東電が隠蔽体質ってことが判明しても、私たちは日本に住んでいて、私を含めた関東在住の人々は多少被爆していて…。


被爆量は蓄積するし、一度受けた放射線によるダメージは、DNAに傷を付けてしまってUNDO出来ない。


自分の生命が既に脅かされてしまった後、怒りや不安を向ける方向を見失う。UNDO出来ないから不安や怒りが解消される事はないから。


敢えて皆口にしないけど、皆、似たような感覚なのかな。


敢えて口にしないのは、どうしよもないからかな、悲しくなるからかな。


昨日大きなパンの塊と一緒に自分の指を誤って切った。


痛かった。


最近は胃の調子も良くない。今流行の風邪は胃に来るらしいから単なる風邪かもしれない。
でも胃が痛くて、吐き気がして、それだけでこの世の終わりのような気になった。


これだけ人間は肉体に支配されている。


癌は昨日の私の痛みよりもの凄い痛みで生命を脅かす病だ。


胃の痛みとともに、昨日、生命を失うことの意味を一瞬感したような気がした。


放射線被爆とは、この「死」の感覚が実際のものとなる可能性が高まること。


やはり、生きていることは素晴らしい。どんなに見栄を張っても、生きることに未練がないとは私も言えない。「生」の価値が痛みや恐怖の対価なのかは分からないけど、こういう私でも持っている生に対する執着を抱いて、無念のまま津波に流されてたくさんの人が亡くなったのだろう。


やりたいことも、行きたいところも、子供の成長や未来の世界も見たかっただろうに。


もっと皆と一緒にいたかっただろうに、経験したかっただろうに。


何だか、混乱したまま精神的クライシスに陥ってしまいそうだ。


どうしたらいいのでしょう。


心の持って行き場が見当たらない。


私だけなのかな。


皆、怖くないのかな。不安じゃないのかな。


未来と子供のために強く生きているのかな…


皆、こんな時でも常にポジティブなのかな。


今更どうしよもないから?


皆そんなに人生への未練断ち切って、割り切って今を生きているのかな。


ちょっと、また変な精神状態なのかな、私。


分からないわ、何も。


私たちは地震や津波から生き延びてまだ生きているのだから、「生」を120%享受すべきなのか。


でも、何か、私の心には、原発事故でもう消えぬ暗い陰が落ちているような気もしないでもない。


「いつ癌になるか分からないし」


「いつ白血病になるかも分からないし」


「いつまた原発事故が起きるかも分からないし」


そういうネガティブな理由で開き直って、人生を享受しようとしている自分がいる。


そういう自分の姿を、時々痛々しく感じる。


どうすればいいのでしょう。少し被爆してしまったかもしれない不安に内心怯える自分を少しも憐れまずに人生を楽しめるのか、全く自分の関与していない筈の原発事故で、こんなに精神生活が左右されてしまった。


震災、原発事故から二ヶ月以上経って、状況を理解しようと必死だったけど、今自分が置かれている状況をやっと理解したのか、今、こんなことを思う自分がいる…


通信でやっと大学卒業して、もう、これ以上辛いことはないだろう、なんて思って少し浮かれていたけど、もっと大変なことになっているのだと今更ながらに気付いた…





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